住宅だけあっても働かないとならないし、高齢者もいるはず

住宅政策は労働政策や福祉政策と同時に行われないとならない

その結果、なかでも単身若年層は、不安定な居住から抜け出せなくなっているのが、その後の状況です。こうした住宅問題を解決するためには、住宅政策が労働政策や福祉政策とリンクして展開されなければなりません。それによってはじめて、その出口が見えてくるでしょう。そうした他の政策を合わせ実施していくことが住宅政策のあるべき役割なのです。そういう意味で単身若年層が居住不安の状況にあるのは、政策不在が生み出した以外の何ものでもありません。

ところで大都市の隅々を歩くと、住宅政策から取り残されているのは低所得層、単身若年層、あるいは高齢者だけでなく、地域ぐるみで取り残されているところもあります、私はそうした地域を東京でも大阪でも見ています。木造住宅密集地域がその典型例といっていいでしょう。3取り残された木造住宅密集地域老朽化の進む木造住宅密集地木造住宅密集地域とは、老朽化した木造住宅が集積して、住宅・工場が混在したり、道路、公園などのオープンスペースが不足していて、大地震時に火災や建物倒壊などの危険性が高い地域を指します。

そこでは、一九五〇年代後半からの高度成長期に進められた都市基盤整備も遅れたまま、無秩序に建てられた狭小な住宅が多く、最低居住水準に満たない住宅が多いという特徴があります。少し古いデータですが、東京の場合、九五年度の『東京都住宅白書』では、木造住宅密集地域の住宅の一月当たり平均床面積は二四・六平方メートル、全住宅の平均値六二二平方メートルの半分以下の規模しかない世帯の比率が高く、日照、通風などの居住環境条件も好ましくないと報告されています。


具体的には住宅市街地総合整備事業(密集住宅市街地整備型)により大阪市生野区南部地区など一六九地区、住宅地区改良事業により東京都板橋区大谷口上町地区など三〇地区、都市防災総合推進事業により東京都葛飾区奥戸街道地区など八〇地区、密集市街地における土地区画整理事業、市街地再開発事業により葛飾区曳舟駅前地区など二〇地区で事業を進めています。

これが国と区市が半額ずつ(場合によっては国が三分の一ないし三分の二)負担して行われます。生野区南部地区の場合、一五年間で総額六三〇億円におよぶ大事業です、計画は一九九四年に始まり、二〇〇九年度には完成するはずでしたが、これがなかなか進んでいません。大阪市によると、完成年度の〇九年における事業の進捗度は次のようになっています。

建替え補助が計画二四〇戸に対し完成三三戸(進捗率一四パーセント)、都市計画道路の用地買収一万五四七六平方メートルに対し八五〇五平方メートル(同五五パーセント)、主要生活道路の用地買収六六七四平方メートルに対し三五七三平方メートル(同五四パーセント)、都市公園の用地買収二一〇〇平方メートルに対し二四一平方メートル(同一パーセント)、従前居住者用住宅の整備三五〇戸に対し一七五戸(同五〇パーセント)、まちかど広場の整備一五ヵ所に対し六カ所(同四〇パーセント)、改良住宅の整備七四五戸に対し一〇七戸(同一四パーセント)、同用地買収五万六七九九平方メートルに対し一万九七一四平方メートル(同三五パーセント)。

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